これまでのお話。
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――母が転んでけがをした。
私は電話越しに、意外にあっさりその事実を受け入れた。
電話での状況報告では、
通院したところ異常はなく、大きなケガではないとのこと。
念のため、もう一度通院するが、旅行には行けそうとのことだった。
私は、ふと思った。
――お母さんの抵抗かな。
こんな時に『抵抗』とかいう言葉が出てくる自分が笑えた。
なんともカウンセラーらしい。
感情が抑圧され、冷静になっている私がいる証拠だ。
が、その一方で、自分を責めようとする自分に気がついた。
突然旅行に誘ったからこんなことになったのだ――、と。
以前の私ならこの考えに呑まれたかもしれないが、
今の私は違う。
じゃあ、なんだ?
――これは、私へのテストなのか。
テスト?
一体何のテスト?
――意味不明だ。
色んな考察が浮かんだが、
どれも違う気がして、私は考えるのを辞めた。
カウンセラーをやっていると他人のことはよくわかるが、不思議と自分のことはわからなかったりする。あるあるだ。
もっと分析しようと思ったが、ここでは「ただ転んだだけ」と考えることにした。
それだけは事実であり、変わらない。
違和感を持ちながらした意味づけに、意味を持たせることは難しい。
とにもかくにも、旅行は決行される。
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