第14章 俺×ナオ 反省 14-2
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ナオの父は彼女が5歳のとき、墜落事故で死亡したのだといった。そして、ナオの母はこの喫茶店でナオの父と出会ったという話をしてくれた。
「今回あなたが危険な目に遭って、あの子も当時のこと思い出したのかもしれないわ」
「……すみません」
「あなたが謝ることじゃないわ。あの子、あなたが近くにいることが嬉しいみたいで、私に色々話してくるんだから。これからも、あの子と仲良くしてやってね」
ナオの母の話をきいて、勇登はこれまでナオのことを全然知らなかったことを反省した。
――地に足がついていないって、飛んでる人のことだったんだな。
勇登はナオの部屋の前までいくとドアをノックした。
「ナオ、入ってもいいか」
しばらくの沈黙の後、中から声がした。
「……駄目」
「じゃあ、そのままきいて、俺は元々父さんに憧れてメディックになりたかった。でも、父さんが死んだとき、母さんが泣いた。それで一度は夢を忘れた。だた、大人になってメディックのことを思い出したとき、子どものときよりも、なりたいって気持ちが強くなってた。一人でも母さんみたいに泣く人を減らしたいって思ったからだと思う」
突然、ナオがドアを開けて出てきた。
「父さんが死んだとき、すっごくすっごく悲しくていっぱい泣いた」
ナオは今にも泣きそうな顔でいった。
「ナオのことは悲しませないし、ナオが困ったときは俺が助ける」
勇登は笑顔で力こぶを作って見せた。
「でも、小学生のとき美夏にも『俺が助けてやる』っていったんでしょ」
「……それは、その、まあ、励ましっていうか……」
身を乗り出しかけたナオは、寝起きでパジャマ姿の自分にハッとして、急いでドアを閉めようとした。
しかし、勇登はすかさずドアを掴んだ。
「ナオのことは、俺が全力で助ける」
「死なない?」
勇登はそっとナオの頭を撫でた。
「守るべき人が増えると、人は強くなる。だから、俺は死なない」
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、組織、名称とは一切関係ありません。