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メディック!第1章 表紙

小説『メディック!』

2021/5/12

#05 小説『メディック!』【第1章】1-4 俺×由良 夢のカケラ

第1章 俺×由良 夢のカケラ 1-4 前回のお話を読む(#04 第1章 1-3へ)第1章をまとめて読むはじめから読む(プロローグへ) *  その夜。  家に帰ると、飼い猫が飯欲しさにすり寄ってきた。  しかし、勇登は「ニャー、今忙しいんだよ。後でな」といって三毛柄の彼女をなでながら引き離すと、すぐに文集探しをはじめた。自分の部屋、リビングの本棚、思い当たる場所は全部探したが、一向に見つからなかった。  途方に暮れた勇登は、家主に電話することにした。着信履歴から志島由良(しじまゆら)の名前を探す。 「はい、 ...

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メディック!第1章 表紙

小説『メディック!』

2021/5/12

#04 小説『メディック!』【第1章】1-3 俺×由良 夢のカケラ

第1章 俺×由良 夢のカケラ  前回のお話を読む(#03 第1章 1-2へ)第1章をまとめて読むはじめから読む(プロローグへ)  店に連れてこられた勇登は、はじめキョロキョロと店の中を観察していたが、目の前に皿が置かれると「すげえ」といって目を輝かせた。  ナオは勇登の向かいの席に腰かけて「うまい、うまい」といって、レバニラとご飯を交互に食べる彼を見ていた。自分が作ったわけでもないのに、不思議と嬉しくなった。  店はもともと祖母がはじめて、祖母と母で経営していた。これまでは、店でレバニラを出していることが ...

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メディック!第1章 表紙

小説『メディック!』

2021/4/28

#03 小説『メディック!』【第1章】1-2 俺×由良 夢のカケラ

第1章 俺×由良 夢のカケラ  前回のお話を読む(#02 第1章 1-1へ)第1章をまとめて読むはじめから読む(プロローグへ) *  ナオは勇登が帰った後、彼が平らげたレバニラの食器を片付けながら、勇登とはじめて会話した日を思い出して、クスリと笑った。  あの日、スーパーの総菜売り場の前で首をかしげている勇登を、ナオはしばらく遠目に見ていた。  ナオはその年高校に入ったばかりで、彼はクラスメイトのひとりだった。  高校に入学すると新しい人間関係がはじまり、中学までの歴史は一旦リセットされる。お互い目には見 ...

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小説『メディック!』

小説『メディック!』 プロローグ

2021年4月7日

プロローグ

 物心ついた頃から、引っ越しばかりしていた。

 両親が航空自衛官という環境は、幸か不幸か俺に多量の経験をもたらした。

 救難員の父と総務幹部の母は、結婚してからの殆どの期間、別々に暮らしていた。というのも航空自衛官に転勤はつきもので、空曹である父は7、8年、幹部である母は2、3年に一回のペースで引っ越す必要があった。

 父の仕事は突発的な任務が多いという理由で、俺は母について全国の官舎を渡り歩いた。いつの間にか、毎朝基地から漏れ聞こえる起床ラッパの数秒前に起きれるようになった。母に「あんたはもう自衛官ね」などといわれ、得意げになったものだ。

 俺にとって母親は、最強な上に最恐、聡明でよく笑い、いつもそばにいるのが当たり前な人だった。しかし、父と一緒に住んだのは、母の育児休暇期間中の3年間と、父と母が同じ静岡県の浜松基地に配属になった小学4~6年の約3年間だけだった。

 俺にとって父親は、小3までは2、3ヵ月に一度会うのが楽しみな人、小4からはそばにいて毎日を楽しくしてくれる人。そして、中1からは会いたくても会えない人になった。

 その頃だったと思う。
 俺は心の中にあった大切なカケラをなくした。
 それは、既に完成していたパズルのピースを、一つ失くしてしまった感覚に似ていた。
 でも、俺はそれを探そうとはしなかった。

 それがなくても生きていけるし、なによりも、そうすることで

 誰も傷つかずに済むのだから――。

つづく


用語解説

☆空曹(くうそう):航空自衛隊の階級。階級は大きく分けて幹部、空曹、空士がある。空曹には空曹長、1等空曹、2等空曹、3等空曹がある。

※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、組織、名称とは一切関係ありません。


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