第7章 俺×母 降臨 7-1
前回のお話を読む(#33第6章 6-5へ)
第7章をまとめて読む
はじめから読む(プロローグへ)
第7章 俺×母 降臨
宗次が折り入って話があるというので、休日勇登は彼を喫茶PJに連れて来た。宗次もPJという名前に反応したが、意味は不明というとがっかりした。
勇登はいつものカウンターではなく、テーブル席に宗次と座った。
「俺、やばいかも」
宗次は開口一番そういった。
「なにが?」
宗次は辺りをキョロキョロと確認した。
「……浅井さんのこと、好きになったかも」
「えぇ!あの男女を!」
勇登は驚いて叫んだ。
「声、大きいよ!」
宗次は慌てて勇登の口を塞いだ。
こそこそ話をはじめた二人のところに、ナオがオーダーを取りにきた。
宗次はすぐに勇登とナオが親しいと気づき、勇登を白い目で見た。
「ふーん、仲いいんだ」
勇登は美夏の前科?を思い出した。休暇明けにちゃんと説明したが、宗次は疑っているようだった。
「勇登はモテるんだな。まあ、俺も勇登のこと好きだからわからんでもないけど。で、どっちが本命なの?」
「何の話だよ」
勇登は顔を引きつらせた。
「ん?待てよ、そういえば浅井さんもお前によくちょっかい出してくるよな。あ、でも彼女は駄目だからな」
宗次は亜希央のことまで持ち出して、勇登の本命を詮索した。
宗次にいわれて少し考えてみたが、自分が誰を好きとかよくわからなかったし、はっきりいって、愛だの恋だの今はどうでもよかった。目の前のことで精いっぱいで、そんなことを考える余裕がない。
「俺は今そっちに興味ないから」
勇登はさらっとかわすと、すぐに宗次の恋愛に話を戻した。
*
勇登がいつものように内務班のベッドに突っ伏してると、携帯が鳴った。
体は動かさずに手だけを動かして携帯を探す。疲れて動きたくない勇登は、相手もろくに確認せずに電話にでた。
「今週末引っ越すから、よろしく」
「へ?」
勇登は飛び起きた。
「小牧に転属。冷蔵庫にビール冷やしといて」
それだけいうと、由良は電話を切った。
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、組織、名称とは一切関係ありません。